永遠のルピナス(魯冰花) 台湾郷土文学選集

2,160円(内税)

鍾 肇政は、戦後一貫して台湾文学の発展のために奮闘しつづけた所謂「戦後第一世代」の文学者である。長年にわたって作家として、翻訳者として、さらに編集 者、文芸運動家として台湾文学のために道を切り拓いてきた。目下九〇歳になんなんとする氏のこれまでの足跡を振り返ると、全身全霊をもって台湾文学に打ち 込んだ生涯であり、心底畏敬の念をいだかずにはいられない。・・・原作のタイトルである「魯冰花」とは、台湾の茶畑と茶畑の間に植えられる植物のことで「ルピナス」の音訳である。「ルピナス」は種類が多いようで、ここでは春に黄色の花が咲き、枯れ ると土を被せて茶畑の肥料となる種類を指している。邦題を「永遠のルピナス」としたのは、小説の末尾にあるように、この「ルピナス」の花に、古阿明の短い 生涯が象徴されていると思ったからである。(本書「解説」より) 『魯冰花』は一九六〇年、台湾の日刊紙『聯合報・副刊』に連載された。天才少年古阿明とその一家の台湾農村での生活を描くと共に、村長の娘で学校の教師、林雪 芬と新任の美術講師、郭雲天の、保守的な田舎の学校での恋愛描写を微妙にクロスオーバーさせながら、六〇年代の台湾北部の田園風景の中に主人公たちの心象 風景を印象深く描いている。文学史的には、モダニズム派文学隆盛の中に郷土派文学の存在感を示した作品である。 鍾肇政著 中島利郎訳(第1回配本) 研文出版 A5判 200頁

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